自由を望む、トリ。






さよならの言葉を聞いた、その瞬間。
あたしは思った。
どうして、誰も彼もあたしを無視するのだろう?
以前あたしにシャルルと行くように言った和矢も、今あたしに和矢と幸せになるよう告げて去ったシャルルも。
皆、誰一人として。
……このまま、和矢と一緒に居る事を選んだら、あたしは絶対後悔する。

「……だいきらい」

呟いた声に何事かと、和矢があたしを見た。

「だいっきらい、和矢もシャルルも大嫌い!あたしは、誰も選ばない!!!」

癇癪のような物だと分かっている。聞きわけのない子供のようだとも、思う。
でも、これがあたしの今の本当の気持ちだ。
半分以上叫ぶように告げて、あたしは和矢の腕を振り払い、走り出す。

「マリナ!!」

驚いたような声が背後で上がったけど、構わずに走り続けた。
知らない。
あたしはもう二度と、彼らの為に生きない。
どうして決めつけるの?
あたしの幸せが何故あんた達に分かるの?
―――あたしは。
あたしは、和矢と一緒に過ごす事が幸せだとずっと思って来た。
だけどそれはホントに幸せなの?
抱いてしまった疑問に急きたてられ、あたしは走った。
その場から逃げるように。
走って走って、息が続かなくなるまで。



そうして。
やがて、辿り着いた自分のアパートで、あたしは思う存分泣いたのだった。










久方振りにパラドクス読み返してやっぱり納得が行かなかった……。
ので、和矢もシャルルも美女丸さえも選ばないマリナを書いてみた。