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『ただいま』




「ただいま」

その言葉に私は首を傾げた。

「唐突に何よ?」

浮かんだ疑問をそのままに聞き返せば、彼はにっこり笑う。

「うん。ただいまって言ってなかったよね?」

ちゃんと、君の所に帰ってきたから。

「……あ」

天狼島の、カプリコーンとの戦闘の前に私が言った言葉。
それに対してのただいま、だとやっと理解する。

「まあ、7年越しになっちゃったけどね」

軽く苦笑しながら言う彼。

「ホントね……」

そういえば、私も言ってなかったな。

「ねえロキ」
「ん?」
「おかえりなさい、でもって……ただいま」

本当はもっと早く言いたかったんだけど、まあ色々あったし。
招待された星霊界で言っても良かったけれどあの時は周りにギルドの皆が居たし。

「おかえり、ルーシィ。君が無事で良かった、―――逢いたかったよ」

優しいロキの指が頬を滑る。
大好きな人の気配に心が満たされる。

「うん……ただいま、ロキ」

もう一度言って、私は彼の腕の中、そっと目を閉じた。






捏造再会。













『夜』


夜も更け、皆が寝静まった頃。
ふと咽喉が渇いて目覚めたガジルは焚き火の近くに佇む人影を認めた。
濃いめのサングラスをかけたその男はただひたすらに一人の少女を見つめている。

『ルーシィに何をした…』

ずっと以前に対峙した時の、あの迫力は忘れられなかった。
星霊だと聞いたが、そんなにも大切かと思う。
ガジルには分からない。
あまり思いつめるんじゃねぇよ
そう言ってやりたい気もしたが、そんな柄ではないと思い直し手近にあった小瓶の水を口に含んで目を閉じた。

「ルーシィは特別なんだよ、ガジル」

不意に声が聞こえ、気付いていたかと肩を竦める。

「そうか……ま、あまり無理はすんなよ」

まあ俺には関係ねぇ事だと呟いて彼の存在を意識から追い出した。

「ありがとう、ガジル」

寝入る寸前、また声が響いてガジルは苦笑しながら眠りに落ちて行った。







何故かガジル視点。天狼島の夜。
天狼島ネタが好きです…。