HappyValentine



ずっと、見つめてきた。
遥か彼方。
外部太陽系の護りを担う事……いや、ただ一人の幸福を護る事が誇りだった。
思慕が、いつの頃からか恋募に変わっても。
彼に出来る事は彼女を護る事、ただそれだけで、それが幸福だった。

「はるかさん」

気がつくと、その愛しい彼女が彼の部屋で、彼の目の前で頬杖をついていた。

「大丈夫ですか?具合悪い?」

心配そうな光をその蒼の瞳にたたえて。

「いや……ちょっと、前の事を思い出していただけだよ」

大丈夫、と伝えるついでに彼女の唇を自分の唇でかすめ取る。
途端に真っ赤な顔をする様子が愛しくて、はるかの唇が綻んだ。

「―――はるかさんって……」

絶対、タラシだ……と、小さく不満を漏らすピンクの唇に苦笑する。

「うさぎ限定だよ?」

心外だと言わんばかりの口調でそう言えば。

「もう良いです」

つん、と顔を背ける。
拗ねた顔も可愛いだけなんだけどなあと頭の片隅で思いながらうさぎを見つめて。

「うさぎ」

低く、甘く、かすれた声で名前を呼ぶ。
挙動不審にこちらを見る彼のプリンセスの手を取り、可愛らしくラッピングされた小箱を載せた。

「え……?」

事情を呑み込めていないうさぎに、にこりと笑って。

「Happy Valentine」

あ、と目を瞠った彼女はありがとう、と華のように微笑んだ。
そうしてから、可愛らしいバッグを探って。

「わたしも、はるかさんに……Happy Valentine!」

綺麗にラッピングされた箱を差し出す。

「あの……見た目は……だけど…味は……多分、大丈夫だから……」

なんて、可愛らしい言葉を唇に乗せながら。
手作りである事をほのめかされてはるかの表情は柔らかく綻んだ。

「ありがとう、大事に食べるよ」

どうしても我慢できなくて、もう一度。
今度はさっきより長く。
きっと、チョコよりも甘いだろうその唇を味わった。







ちょっと何か。……別人が入った気がする…………。
いらっしゃらないだろうけども、2/14までお持ち帰り自由。煮るなり、焼くなりどうぞです。←終了