朝
手を伸ばして、触れる。
隣に眠る愛しい少女の髪をはるかはゆっくりと梳いた。
金色に輝く髪、華奢な肢体、今は伏せられた蒼い瞳。
いつかは飛び立って行くはずだった、至高の存在。
「うさぎ……」
けれど今は。
愛しい少女は腕の中に居る。
諦めていた彼の元に少女はまっすぐに駆けてきたのだ、前世からの定められた恋人の手を振り切って。
「もう、起きなきゃ駄目だよ……」
あどけない顔で眠るうさぎの頬に口づける。
「うー…ん……」
ダメなの……はるかさんじゃなきゃ、イヤ…!
泣きそうな顔で姫君はそう言った。
もとより自分が彼女を突き放すわけもなく。
そして、現在がある。
「可愛い仔猫ちゃん、起きないと……食っちまうぞ?」
腕の中に月の光。
相変わらず寝起きの悪い、彼のクイーンがゆっくりと目を覚ました。
「おはよ、うさぎ」
「…おはよう、はるかさん」
何が起ころうとも、君を愛しているよ。
たとえ全宇宙を敵にまわしたとしても。
はるかさんがキングでうさぎちゃんがクイーン……。
こどもがちびうさならOKかなあとかとか…。